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最高裁判所第一小法廷 昭和25年(あ)261号 決定 1950年6月29日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人青木定行上告趣意第一点について。

しかし、刑訴六四条にいわゆる勾留状の「有効期間」とは、勾留状を執行する有効期間を指し、所論のように被告人を勾留すべき期間(勾留期間は勾留状に記載すべきものではなく、刑訴六〇条により公訴の提起のあった日から二箇月である)というものではない。そして、その期間は、刑訴規則三〇〇条により裁判所又は裁判官が特に定めない限り令状発付の日から七日であるから、勾留状に有効期間を記載しなくとも勾留状の効力を妨ぐるものでない(本件では所論勾留状発付の即日執行されているから、その執行にも違法は認められない。)されば、所論勾留状が無効であることを前提とする本論旨は、既にその前提において刑訴四〇五条の上告理由に当らないし、また、同四一一条を適用すべきものと思われない。

同第二点について。

所論は刑の量定を不当とするものであるから、明らかに刑訴四〇五条所定の上告理由に当らないし、また、同四一一条を適用すべきものとも認められない。

よって、同四一四条、三八六条一項三号、一八一条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅)

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